アジアの麺料理 第1回「フーティウ・ナンバン」

シェア

アジアの麺料理、第1回はベトナム・ホーチミンで食べた「フーティウ・ナンバン」です。

東南アジア各国で現在見られる麺料理は、19世紀以降に華人が海路で伝えたものがほとんどですが、長い間中国の支配を受けていたベトナム北部ではそれ以前より麺が一般的に食べられていたようです。

その代表的なものがフォー(phở)ですね。今でこそベトナム全土で食べられるようになったフォーですが、ベトナム南部ではかつてはそれほど一般的な食べ物ではありませんでした。

一方、このフーティウ・ナンバンは、比較的新しい時代にカンボジア経由でベトナム南部に伝わった麺料理だと言われています。

フーティウ・ナンバン

フーティウというのは中国語の「粿條」に由来する言葉で、タイでクイティアオ、カンボジアでクイティウと呼ばれているものと同源です。ナンバンというのは南旺(南旺府)で、この麺料理がカンボジアのプノンペンから伝わったためこう呼ばれているとのこと。

華人が海路で直接伝えたフーティウ(粿條)が先にあり、これに対し、後から陸路カンボジアを経由しベトナム南部に伝わったこの料理を前者と区別するため、わざわざナンバンと付けているのではと類推しているのですが、それぞれが伝播した時代も含めてこの辺の詳細は不明です。

いずれにせよ、カンボジアにいる中国系の人々はタイと同様に潮州人が主ですので、オリジナルは潮州辺りで食べられていた粿條にあるということは間違いなさそうです。

麺研究の第一人者、石毛直道氏の分類に従うと(参照:製麺法による分類)、この麺はフォーと同様に河粉系列に分類することができます。河粉系の麺は刃物を使って線状にしているため切り口が四角いという特徴があります。

データ

料理名: フーティウ・ナンバン
店名: クイン(QUYNH)
場所: ベトナム・ホーチミン グエンチャイ通り
麺の原料: 米粉
麺の種類: 河粉系列
: エビ、豚肉、豚レバーなど

下の動画を見ると、汁無しもかなり美味しいようですね。