バンコクのタクシードライバーにも歴史あり

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先日、バンコクでタクシーに乗ったときの話。

宿泊していたホテルに戻るため「スクンビットのソイ20まで」と伝えると、初老の運転手が「ホテルの名前は?」と尋ねてきます。

バンコクのタクシードライバー

オープンしたばかりのホテルだったのでおそらく知らないだろうとは思いつつホテル名を言うと、「聞いたことないなぁ。じゃあ、ソイに着いてホテルが近づいたら教えてよ」。まあ、よくあるケースです。

走り出した後、フロントガラスに取り付けてあるガーミンのGPSで検索してくれますが、やっぱり出てこない様子。その場の流れで、GPSの値段やら機能やらを聞いたり世間話をしたりしていると、このドライバー見かけによらず(失礼)かなり流暢に英語を話せることに気づきます。

バンコクのタクシードライバー
好々爺という言葉がぴったりの気さくなドライバー。

「英語、ずいぶん上手いですねえ」と正直な感想を言うと、「昔、米兵相手の仕事をしていたからね」との返答。

ベトナム戦争時、タイ東北部に米軍基地があったことは知っていたので「ウドンターニーですか?」と聞くと「いや、バンコクだよ、しかも今から行くソイ20。ウインザーホテルっていうところ」。

「えっ、そこですよ。僕が泊まっているの。新しい名前になったんですけど」「なーんだ、そうだったのか」。

その後は目的地に着くまで当時の様子を細かく話してくれます。

「4階のフロアを担当していたんだよ。まあ、要するに雑用係だったんだけどさあ」とか、「でも何か頼まれるたびに彼らチップとして毎回1ドルもくれるんだ」、「考えてもごらんよ、18、9の子供に当時の1ドルだよ」などなど。

後で調べてみると、スクンビットのアソーク周辺には当時米軍の施設が幾つかあり、またウインザーホテルはいわゆるR&R(Rest and Recuperation)と呼ばれるベトナム戦争に従軍していた米兵が休暇を過ごすための定宿となっていたとのこと。そう言えば近くには歓楽街のソイ・カウボーイもありますね。

30分ほどでウェルホテル(旧ウィンザーホテル)に到着。

ウェルホテル・バンコクの外観
右の棟が旧ウィンザーホテル。

この建物はここ半世紀ほどの間に、ウインザーホテル→ウィンザースイート(ガーデンウイング)→ウェルホテル(メモリーウィング)という変遷をしてきたことになります。左側も同じくウェルホテルの一部ですが、こちらは新築。

運賃を支払い終えると運転手は別れ際に「ここだよ、ここ。こんなに綺麗になっちゃったんだ・・・あの頃は本当に良かったなぁ」とだけ言ってゆっくり去っていきました。

最近、バンコクのタクシーでは不快な思いをすることも多いのですが、こういう経験をすると、ドライバーたちもみんな人生色々あるだろうし結構大変なんだろうなあとつい同情してしまったりもします。でも、たまにこういったドライバーに当たるとすごく得した気分になりますね。

最後に。タクシードライバー、ベトナム戦争とくればやっぱりこの名曲を。

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