東南アジアの大都市で進む水上交通計画

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東南アジアの大都市では年々悪化する渋滞が大きな課題となっていますが、それを緩和する一つの手段として、ボートを使った水上交通計画が次々と発表されています。

この地域において最も有名な定期船と言えば、バンコクのチャオプラヤー川で運航されているチャオプラヤー・エクスプレス・ボート(Chao Phraya Express Boat)が挙げられるのではないかと思います。

チャオプラヤー・エクスプレス・ボート
チャオプラヤー・エクスプレス・ボート

地元紙バンコクポスト(Bangkok Post)の記事によると、2016年時点でのこの路線の1日当たりの乗客数は約4万人。地元の足として利用されているだけではなく、バンコクを訪れた外国人観光客にとっては手軽な遊覧船としても人気があります。

Bangkok Post – River ferry stays afloat despite dangers

上記記事内で言及されているように、単に輸送量という面ではチャオプラヤー・エクスプレスよりもバンコク中心部を東西に流れるセンセープ運河で運航されている小型船によるものの方が多く、こちらは日々約5万人を運んでいるとのこと。バンコクの住民にとっては、より身近な存在と言えるのかもしれません。

ただ、バンコクのこれら航路のように毎日数万人単位で利用されている水上交通というのは稀で、運航を開始しても採算が合わずすぐに撤退してしまったり、あるいはマニラ・パッシグ川の定期船のように運航したり休止したりを繰り返しているというようなケースが多いのが実情です。

Coconuts Manila – Pasig River Ferry relaunched, shuttle service to stations now available

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それでも、今年に入ってから東南アジアの幾つかの都市で新たに水上交通を導入するというニュースが続いているのは、やはりそれだけ各都市における交通渋滞が深刻化しているというのが理由なのでしょうね。

では、ここで実際に計画されている都市とその状況を幾つか紹介したいと思います。

プノンペン

まずはカンボジアの首都プノンペン。クメール・タイムズ(Khmer Times)の2月9日付けの記事より。

Khmer Times – Water taxis for Phnom Penh

・プノンペン中心部を南北に縦断する形で、トンレサップ川~バサック川間の約25kmに就航
・90人乗りのボートを20隻使用
・船着場は計9か所
・運航開始は2018年中を予定

ホーチミン

次いでベトナムのホーチミン。VNエクスプレス(VnExpress)が2月17日に報じた内容は以下の通り。

VnExpress International – Saigon announces first river bus services to ease road congestion

・市内中心部のバクダン船着場から東部郊外のトゥドゥック区までの約11kmを運航
・60人乗りのボート10隻を使用
・2017年6月に就航
・2017年9月からは2つ目のルートとして西部8区への路線を開設

ヤンゴン

最後にミャンマーのヤンゴン。ここ数年で渋滞が最も悪化している都市の一つです。イラワディ(The Irrawaddy)による2月17日の記事から。

The Irrawaddy – Govt Announces Rangoon Water Taxi Service Tender

・市内を南北に流れるライン川(ヤンゴン川)とガーモエイェック運河(パズンダウン川)の2路線
・昨年末に入札が行われ、Tin Tin Myanmar CompanyとGolden Palace Companyの2社が落札
・運航開始時期は未定

(2017年2月20日追記: 地元メディアより5月中に運航開始するとの報道がありましたので下記にリンクしておきます。)

Eleven Myanmar – Water taxi services to launch in early May

水上交通と同様に、導入のための初期投資が比較的少なく済む渋滞緩和策の一つとしてBRT(バス高速輸送システム)があります。

但し、これも東南アジアの大都市では成功例が少なく、インドネシアのジャカルタで運行されているトランスジャカルタ(Transjakarta)が唯一と言えるのかもしれません。

バンコクでは2010年に導入されたものの、結局今年4月をもって廃止されることが決定。また、昨年初頭に運行が開始されたヤンゴンでも1年経たずに運休し、現在は通常のバス路線で代替するような形となっています。一方、ハノイでは今年に入って本格的にBRTの運行がスタート。さてどうなるのか、今後注目していきたいところです。

今回紹介した都市の中では既にバンコクやマニラにはMRTやLRTといった都市鉄道がありますが、それ以外にもハノイ、ホーチミン、ジャカルタなどでも間もなく待望の地下鉄・高架鉄道が開通する予定です。

もちろんこれら都市の規模を考えると路線をさらに拡大していかないと抜本的な解決にはなりえないでしょうから、今後も水上バスやBRTといった輸送手段を併用しながら、急速な発展を遂げつつあるこの地域の宿痾とも言える渋滞に対処していくことになるのでしょう。

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