アジア各地の媽祖廟

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横濱媽祖廟
中華系の人たちが多く暮らすアジア各地の主要都市では、「媽祖」を祀った廟が建立されているのをよく目にします。

媽祖(まそ)というのは、天上聖母、阿媽などとも呼ばれる航海安全の神様で、元々は、中国・福建省の林黙娘という女性が自分の父親や兄弟を嵐から救ったという故事に基づいて広まった民間信仰です。

中国・三国時代の武将である関羽を祀った関帝廟と共に、現在は広く華人世界で厚い信仰の対象となっています。

かつて華人たちが仕事を求め、東南アジアなどへ渡った際には、そのほとんど全てが海路がだったため、「航海安全」というのは切実な願いだったと思われます。上陸した土地では海沿いの目立つ場所にこの廟を建て、お礼と共に後に続いてやって来る同胞たちの目印ともなっていたようです。

下記に、筆者が訪れたことのある媽祖廟を幾つか取り上げてみました。

シンガポールのシアンホッケン寺院

19世紀半ばのラッフルズによる土地計画に基づいて華人たちが最初に住み着いたのは、現在のチャイナタウンより南東にあるテロックアイル地区。ここに建つのが1840年創業のシアンホッケン寺院(天福宮)で、これがシンガポールで最も有名な媽祖廟です。

シアンホッケン寺院
反りのある屋根が福建様式建築の特徴。

シアンホッケン寺院の天后聖母
天后聖母像。「神昭海表」と書かれている。

シアンホッケン寺院は同じ地区にある福徳祠とともに現存するシンガポール最古の建築物と言われています。建立された当時、すぐ南側は海岸で、中国本土南部からやってきた華人たちがまずたどり着いたのがこの場所だったそうです。

度重なる埋め立てによって海岸線が後退した今のシンガポールで当時の海岸の面影を探すのは難しいですが、シンガポール川左岸のラッフルズホテルの前の通りは現在でもビーチロードと呼ばれていて、その名残を見ることができます。ラッフルズがまだビーチハウスと呼ばれていた19世紀末当時は、ここがまさに海の目の前だったわけですね。

ベトナム・ホーチミンのティエンハウ廟

ホーチミンのチャイナタウン、チョロン地区にある媽祖廟。ホーチミンを代表する観光名所のひとつ。

ティエンハウ廟

こちらも福建様式。

ティエンハウ廟の壁画

故事に基づいて描かれた壁画。

ティエンハウ廟の渦巻き型線香

天井に吊るされた巨大な渦巻き型線香。

ティエンハウ廟の天后聖母

天后聖母。「海国安瀾」と書かれている。

横浜中華街の媽祖廟

日本最大の中華街、横浜中華街にも媽祖廟はあります。こちらは2006年建立と、最近造られたものです。

横濱媽祖廟
公式サイト:横濱媽祖廟

横濱媽祖廟の天后聖母
天上聖母像。

媽祖廟は天后宮、天妃宮などとも称され、これらに由来する地名もアジア各地に残っています。

有名なところだと、香港には天后(ティンハウ)という地区やMTRの駅がありますし、台湾の馬祖列島も媽祖から転じたものです。また、媽祖を祀っているマカオ最古の寺院「媽閣廟」は広東語で発音すると「マーコッミウ」。これがマカオという地名の元となったとも言われていますね。

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