ベトナム・ダナンにあるチャム彫刻博物館(Museum of Cham Sculpture)に行ってきたので紹介します。
この博物館はミーソン遺跡をはじめとした7世紀から15世紀頃までにベトナム各地で造られたチャンパ王国の遺産を展示しています。特に、チャンパではヒンドゥー教が受容されていたため、ガネーシャ、シヴァ、ガルーダといったお馴染みの神々の石像を数多く見ることができます。
ガネーシャ。
ミーソン遺跡出土の傑作のひとつ、横臥するビシュヌを描いたペディメントの浮き彫り。
上部で座禅を組んでいるのは同じくヒンドゥーの神ブラフマー。寝釈迦仏ならぬ「寝ビシュヌ神」とでもいうべき構図ですが、これはブラフマーがヴィシュヌの臍に生えた蓮から生まれたという神話に基づいています。今まさにブラフマーが誕生している様子、ということですね。
東大寺戒壇院の四天王像を思い起こさせるような石像。
“Guardian”と書かれていたのでこれも四天王と同じく守護神だと思います。日本では邪鬼を踏みつけていますが、こちらは水牛。ヒンドゥーの神々は日本に入って仏教にも取り入れられているので、両者を比較するのも興味深いです。
一面四臂で表現された女神ウマー(パールヴァティー)。
砂岩で造られたラクシュミー立像。左腕が欠損しているもののその他は光背と思われる物も含め綺麗に残っています。日本では吉祥天。
カンボジアのアンコール遺跡などでもよく見かける天女アプサラス(アプサラ)。
破壊神、シヴァ。
獅子像。メインとなる神像の両脇に一対で置かれていたということで、日本では狛犬ですね。
インド神話に登場する海獣マカラ。シャチホコの起源はこれだという説もあります。
建物自体も1915年にフランス人建築家によって建設されたもので、約百年の歴史あるもの。
一部の一級品は発掘時にフランスに持っていかれ、現在ギメ美術館で展示されているようですが、チャンパの遺物に関してはベトナム国内ではここが質・量共に一番だと思います。写真も自由に取れますし、ダナンへ行った際にはミーソン遺跡とあわせてぜひ訪問することをおすすめします。
入館料は3万ドン、開館時間は8:00~17:00。場所は市内中心部で、ダナンの新名所ロン橋(龍橋)のすぐ近くになります。