タイ東北部を巡ろうと、ブリーラム空港でレンタカーを借りた。
ある程度のロングドライブになるはずだったため小型車では心許なかったのと、雨季で道路状況の悪いところを通るかもしれないという考えもあってこのSUVを選択。そもそもタイの田舎町のレンタカー屋ではセダンタイプ以外の選択肢は非常に少ない。
以前も利用したことのあるタイレンタカー(Thai Rent A Car)という会社で予約。1泊2日で約7千円。万が一のことを考え保険にもフルで入っておいた。
今回訪れたのはブリーラム、マハーサラカム、ローイエット、ヤソートーン、スリン。
コラートからコーンケーン、ウドーンターニー、そしてノーンカーイに至る国道2号線沿いの街がイサーンの表の顔だとするならば、これらの街はそこから逸れた、いわば裏イサーンとでも呼ぶべき場所。
外国人旅行者の姿は圧倒的に少なく、人々の話す言葉はなまりが強くなる。農業以外目ぼしい産業と呼べるものは無く、道路を走っている車はピックアップトラックばかりが目立つようになる。
空港を後にし、一路北のローイエット方面へ向かう。
交差点で信号待ちをしていると、どこからともなく花輪売りが現れる。タイではよく見る光景だ。
これからの旅の安全を祈願して1本購入。20バーツ。タイではこの花輪のことをポアン・マーライ(พวงมาลัย)と呼ぶ。
タイ人たちがそうするようにバックミラーに引っ掛けると無機質だった車内が幾分華やいだ。
信号が青に変わりアクセルを踏み込む。ポアン・マーライはゆっくりと揺れ、ジャスミンの優しい香りが広がる。
運転中は昔よく聞いていたタイの音楽をずっと流していた。
こんな曲や、
คำในใจ(Straight)
こんな曲。
แรงดึงดูด(Gravity)
雨季に入ったイサーンの大地は木々の緑がぐっと濃さを増し、鮮やかだ。道端ではカオラーム(竹筒入りご飯)とかテーンモー(スイカ)などと手書きされた看板をしょっちゅう見かける。
天候は幸いにも薄曇り。それほど暑くも無く、エアコンを切り窓を大きく開ける。周囲には一面田畑が広がり、水田を渡って入り込んでくる風は涼やかで心地よい。肩の力がふっと抜け、そのままどこまでも走って行けそうな気分になる。
この辺りは幹線から一歩外れると交通量は驚くほど少ない。途中、牛の群れがこちらに向かってきた時だけは一瞬ギョッとしたが、まあそれ以外は至って平穏な道中だった。
1泊2日、約500キロの道程を楽しんだ。かかったガソリン代(ディーゼル)は約4千円。また次回も車を借りてイサーンを気ままにドライブしたい、そう思わせる旅だった。