アジア各国における中国人旅行者の割合

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最近アジアの国々を旅していると、どこに行っても中国人旅行者が多くなったなあということを感じます。これはまあ日本国内の観光地でも同様ですね。

各国を訪れる外国人旅行者のうち、中国人の占める割合が実際はどの程度なのか気になったので、国ごとに詳しく調べてみました。

今回対象としたのは、日本、韓国、台湾、香港、マカオ、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジアの12か国・地域。作成したグラフは全て受け入れ国側が公表している2014年分のデータを元にしています。出典は下部にまとめて記載しました。

それでは、中国人旅行者の比率の高かった国・地域から順に紹介していきます。

香港

中国本土からが77.7%で、香港を訪れる4人に3人は中国人という計算に。2位以下は台湾、韓国、アメリカ、日本と続きます。だだ、これら国はいずれも全体の1~3%程度です。このところ本土からの買い出し客の問題がニュースでも取り上げられていますが、日帰り旅行者を含めると昨年1年間だけで延べ4,700万人の中国人が香港を訪れていることになります。

マカオ

中国本土からが67.4%と断トツ。2位の香港からとあわせると全旅行者の9割近くに達しています。昨年マカオを訪れた旅行者は3,000万人を超えていますが(日帰り含む)、そのうちの約2,700万人が中国本土及び香港からの旅行者です。さらに細かく見ていくと、中国本土から訪れる旅行者の4割が隣接する広東省からとなっています。

韓国

中国からが43.1%とかなり高い割合を占めています。実数も600万人を超えていて、香港・マカオを除くと数の上でも比率の上でも世界で最も中国人旅行者が多い国、ということが言えます。日本からは2番目で16.1%。

台湾

中国からがトップで4割、400万人近くが台湾を訪れています。次いで日本からが16.5%で2番目。以下、香港(マカオを含む)、韓国、アメリカの順。上位5か国で全体の旅行者の8割以上を占めているというのが目につきます。

ベトナム

国境を接している地理的条件もあって中国がトップで全体の約4分の1に達しています。実数では約200万人。以下、韓国、日本、アメリカ、カンボジアの順。領有権の問題など政治的には対立もありますが、比率でいえば依然東南アジアでは最も中国人旅行者の多い国のひとつです。

タイ

中国がトップで18.7%。タイを訪れるおよそ5人に1人が中国人という計算。実数は約460万人で、東南アジアでは最多となっています。次いでマレーシア、ロシア、日本、韓国という順。但し、上位5か国を合わせても全体の4割程度にしかならず、今回調査した中では最も多様な国籍の旅行者が訪れる国という結果になっています。

日本

トップは僅差で台湾。次いで韓国、中国の順。いずれも全体の2割前後で、この3か国が3トップを形成しています。昨年1年間で中国からは約240万人が日本を訪れています。比率でみればまだ周辺国に比べると少ないというのが印象です。

カンボジア

隣国であり経済的な結びつきも強いベトナムからがトップ。中国はそれに次いで2番目で12.4%(約56万人)。同じ隣国でもベトナムやラオスに比べタイからの旅行者はそれほど多くないというのが印象的ですね。日本からは6番目で割合では4.8%。

シンガポール

中国からはインドネシアに次いで2番目の12.1%(約170万人)。マレーシア、オーストラリア、インドを加えた上位5か国で5割程度と、タイほどではないものの様々な国の旅行者が訪れていることがわかります。ちなみに日本からの旅行者は第6位で約82万人、パーセンテージにすると5.5%でした。

インドネシア

お隣シンガポールからがトップ。次いでマレーシア、オーストラリアの順。中国からは4番目で全体の約1割(約90万人)と、東南アジアの国々の中では比較的少ない結果に。地理的に遠いという理由もあるのでしょうが、バリ島を訪れる旅行者に限るとオーストラリアに次いで2番目となります。

フィリピン

韓国がトップで2位がアメリカという、アジアの他国とはちょっと異なったグラフが特徴です。日本からが3位、中国はその次の4番手で8.2%(約40万人)。実数では今回調査した国の中で最低の数字となっています。ベトナム同様に領有権問題を抱える両国ですが、それでもセブやボラカイなどのビーチリゾートを中心に、訪れる中国人は結構多いというのが印象です。

マレーシア

訪れる外国人の半数以上がシンガポール人という非常に特徴のあるデータとなっています。空路だけでなくコーズウェイを渡って行き来するシンガポール人が多いのが数字を押し上げる結果に。その数1,400万人以上でシンガポール総人口の3倍近い数字となっています。中国人はビザが必要なことやマレーシア航空事故の影響もあって5.9%と、今回調査した国の中では最低の割合でした。但し、母数が大きいため人数は160万人以上と決して少なくはないですね。

出典
香港: Hong Kong Tourism Board – Monthly Report (PDF)
マカオ: マカオ観光局 News Release (PDF)
韓国: Korea Tourism Organization – Monthly Statistics
台湾: Tourism Bureau, M.O.T.C. Republic of China(Taiwan) – Yearly Statistics
ベトナム: Vietnam National Administration of Tourism – TOURISM STATISTICS
タイ: Department of Tourism Thailand
日本: 日本政府観光局(JNTO) – 2014年 訪日外客数 (PDF)
カンボジア: Ministry of Tourism Cambodia (PDF)
シンガポール: Singapore Tourism Board – International Visitor Arrivals Statistics (PDF)
インドネシア: インドネシア共和国観光省公式ページ – 2014年度外国人訪問者数
フィリピン: Tourism Research and Statistics Division of Philippines – Tourism Industry Performance
マレーシア: Tourism Malaysia with the cooperation of Immigration Department (PDF)

※外国人旅行者数の統計の取り方は国によって異なっている場合があります。