日本では昨年がLCC元年などと呼ばれ、まだまだ利用率の低い格安航空会社ですが、東南アジアではエアアジアを筆頭に既に導入から10年以上が経ち、安価な移動手段として非常にポピュラーな存在となっています。
今回は、大手航空シンクタンク、アジア太平洋航空センター(CAPA)が公表しているデータを用い、東南アジアでLCCがどの程度浸透しているのか、主要国の国内路線に占める格安航空会社の割合を見ていこうと思います。
同社によるデータは提供座席数を基にしているため、実際の利用者数・利用割合とは異なりますが、LCCの台頭状況を測る参考にはなるのではないでしょうか。
なお、わかりやすいよう格安航空会社は太字で示してあります。
タイ国内線の航空会社別シェア
航空会社名 | シェア |
---|---|
タイ国際航空 | 27.3% |
タイ・エアアジア | 26.8% |
ノックエア | 26.4% |
バンコクエアウェイズ | 18.0% |
オリエントタイ | 1.4% |
LCC比率: 53.2%
データ: 2013年8月19日~25日(提供座席数ベース)
出典: CAPA – Centre for Aviation
ベトナム国内線の航空会社別シェア
航空会社名 | シェア |
---|---|
ベトナム航空 | 66.8% |
ベトジェットエア | 20.6% |
ジェットスターパシフィック航空 | 12.6% |
LCC比率: 33.2%
データ: 2013年8月26日~9月1日(提供座席数ベース)
出典: CAPA – Centre for Aviation
マレーシア国内線の航空会社別シェア
航空会社名 | シェア |
---|---|
エアアジア | 47.0% |
マレーシア航空 | 37.7% |
ファイアフライ航空 | 7.0% |
マリンドエア | 6.8% |
ベルジャヤ航空 | 1.5% |
LCC比率: 53.8%
※ファイアフライ航空はリージョナル航空としてLCCからは除外
データ: 2013年8月19日~25日(提供座席数ベース)
出典: CAPA – Centre for Aviation
フィリピン国内線の航空会社別シェア
航空会社名 | シェア |
---|---|
セブパシフィック航空 | 45.3% |
Airphil Express(現PALエクスプレス) | 20.5% |
フィリピン航空 | 15.4% |
ゼストエアウェイズ | 13.0% |
SEAir(現タイガーエア・フィリピン) | 5.0% |
エアアジア・フィリピン | 0.7% |
LCC比率: 64.0%
※PALエクスプレスはフィリピン航空内の格安ブランドとしてLCCからは除外
データ: 2013年1月21日~27日(提供座席数ベース)
出典: CAPA – Centre for Aviation
インドネシア国内線の航空会社別シェア
インドネシアについては今年に入ってからの詳細なデータが無かったため掲載は控えますが、フラッグキャリアであるガルーダインドネシア航空の昨年の国内線シェアは2割強で、残りの主要航空会社はライオンエア、インドネシア・エアアジア、タイガーエア・マンダラ、シティリンクなどいずれもLCCであることを考慮すると、格安航空会社のシェアは7割超というところでしょうか。
まとめ
インドネシア7割、フィリピン6割、マレーシアとタイで5割など、東南アジア主要国では軒並みLCCが半数以上のシェアを得ています。
今回の記事では国内線を取り上げましたが、この傾向は国際線も同様で、国内線ほどではないにせよやはり各国共にLCCの比重が年々増してきています。
最後に、比較として日本のデータも挙げておきます。
航空会社名 | シェア |
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ANA | 47.6% |
JAL | 27.2% |
スカイマーク | 6.7% |
エア・ドゥ | 2.8% |
日本トランスオーシャン航空 | 2.7% |
ジェットスター・ジャパン | 2.7% |
ソラシドエア | 2.5% |
日本エアコミューター | 2.1% |
データ: 2013年6月10日~16日(提供座席数ベース)
出典: CAPA – Centre for Aviation
2%以下のピーチやエアアジア・ジャパンを加えても、全体に占めるLCCの比率は5~6%程度でしかありません。
国内線総座席数でみると、日本はアメリカ、中国に次いで世界で3番目の規模だそうで、逆に考えると、LCC各社にとって日本は今後の参入余地が高い、非常に魅力的なマーケットだということも言えると思います。
昨日、中国のLCC春秋航空が日本国内線市場に参入することを表明していますし、エアアジアグループも再参入を予定しているようです。既存LCCによる路線網・路線数の拡大の動きと合わせ、日本でも徐々にLCCのシェアが増えていくのは確実ではないでしょうか。