ここ数年、東南アジアを旅行しているとどこに行っても中国人が多くなったなあと実感するのですが、一方で、韓国人旅行者の姿も結構目にします。
では、実際にどのくらいの数の旅行者が東南アジアを訪れているのか、日本人を含めた3か国の数字を比較してみました。今回対象としたのは、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーの東南アジア9か国。
データは受け入れ国側が発表している2015年のものを使用。出典先は下記にまとめて表示してあります。
タイ
年間旅行者数 | |
---|---|
中国人 ![]() |
7,934,791 |
日本人 ![]() |
1,381,690 |
韓国人 ![]() |
1,372,995 |
マレーシア
年間旅行者数 | |
---|---|
中国人 ![]() |
1,677,163 |
日本人 ![]() |
483,569 |
韓国人 ![]() |
421,161 |
シンガポール
年間旅行者数 | |
---|---|
中国人 ![]() |
2,106,164 |
日本人 ![]() |
789,179 |
韓国人 ![]() |
577,082 |
インドネシア
年間旅行者数 | |
---|---|
中国人 ![]() |
1,141,330 |
日本人 ![]() |
528,465 |
韓国人 ![]() |
351,040 |
フィリピン
年間旅行者数 | |
---|---|
韓国人 ![]() |
1,339,678 |
日本人 ![]() |
495,662 |
中国人 ![]() |
490,641 |
ベトナム
年間旅行者数 | |
---|---|
中国人 ![]() |
1,780,918 |
韓国人 ![]() |
1,112,978 |
日本人 ![]() |
671,379 |
カンボジア
年間旅行者数 | |
---|---|
中国人 ![]() |
694,712 |
韓国人 ![]() |
395,259 |
日本人 ![]() |
193,330 |
ラオス
年間旅行者数 | |
---|---|
中国人 ![]() |
511,436 |
韓国人 ![]() |
165,328 |
日本人 ![]() |
43,826 |
ミャンマー
年間旅行者数 | |
---|---|
中国人 ![]() |
147,977 |
日本人 ![]() |
90,312 |
韓国人 ![]() |
63,715 |
これを見ると、フィリピン以外の8か国ではいずれも中国がトップ。特にタイへは800万人近くが訪れていて他を圧倒しています。
中国の場合、人口の多さや東南アジアと国境を接している地理的条件などを考えると当然の結果とも言えますが、人口5千万人程度の韓国からの旅行者もやはりかなり多かったということがこのデータからよくわかります。
9か国の中で唯一中国人以外がトップだったフィリピンは韓国人旅行者が最多で、年間130万人超えという驚く数字。日本人と中国人は共に50万人に満たないので、韓国でのフィリピン人気の高さがうかがえますね。
東南アジアにおける日本人の人気旅行先トップ3はタイ、シンガポール、ベトナムの順。これは中国人も全く同じだったのですが、韓国人の場合はタイ、フィリピン、ベトナムとなって、シンガポールの代わりにフィリピンが入ってくるのが特徴です。
アクセス面で考えると、中国と韓国からは上記9か国全ての国へ定期直行便が開設されています。対して、日本からは現状7か国に留まっていて、カンボジアとラオスへは未就航(今年9月からはANAが成田~プノンペン線を開設することが決定しているため、残すはラオスだけになります)。
利用者にとって直行便が就航しているかどうかというのは旅行先を決める際の大きな要素であるのは間違いなく、旅行者数にも反映されます。これはカンボジアやラオスを訪れる日本人が韓国人に比べ極端に少ないという上のデータからも明らかですね。
韓国からは就航都市も多く、現在日本からは直接行くことのできないシェムリアップ、ビエンチャン、クラーク、カリボ、チェンマイ、プーケットなどへも直行便が就航。アシアナや大韓航空が仁川での乗り継ぎ需要を取り込んでいることも要因の一つでしょうが、ソウルあるいは釜山が距離的に東南アジアに近いということも大きいと思います。
ソウルや釜山からはLCC御用達のエアバスA320など近・中距離向けのナローボディ機で航行可能なケースでも、東京、大阪、名古屋からだと距離があるため、より大型の機材が必要になってきます。現在、エアバスA320を使って福岡~バンコク線を運航しているジェットスター・アジア航空も、特に偏西風が強く吹く冬場は技術的・燃料面でなかなか大変らしく、これが10月から撤退する理由の一つになったのかもしれません。
先日、格安航空会社のバニラエア(Vanilla Air)が成田~ホーチミン線を台北経由で開設することを発表しましたが、これは「距離」という問題を以遠権を使って解決した例ですよね。利便性では直行便には劣るものの旅行者の選択肢は確実に増えるわけで、今後も同様の動きが続いていくことをぜひ期待したいです。
出典先一覧:
タイ: Department of Tourism Thailand – สถิตินักท่องเที่ยวชาวต่างชาติที่เดินทางเข้าประเทศไทย ปี 2558
マレーシア: Tourism Malaysia
シンガポール: Singapore Tourism Board – International Visitor Arrivals Statistics (PDF)
インドネシア: Ministry of Tourism Indonesia – Statistik Wisatawan Mancanegara
フィリピン: Department of Tourism Main Portal – It’s More Fun in the Philippines
ベトナム: International visitors to Viet Nam in December and 12 months of 2015
カンボジア: KINGDOM OF CAMBODIA TOURISM STATISTICS REPORT Year 2015 (PDF)
ラオス: 2015 Statistical Report on Tourism in Laos (PDF)
ミャンマー: Myanmar tourism statistics 2015 (PDF)
※一部国のデータでは香港とマカオからの旅行者も中国人旅行者としてカウントしています。