「剣獅」(劍獅)とはその名の通り、剣を咬んだ獅子をモチーフにした魔除けのことで「獅咬劍」とも。台湾・台南の安平地区に数多く残っていることで知られていますが、実はタイでも華人の多いエリアであれば至る所で見られるポピュラーな魔除けの一つです。

風水の考えではT字路や尖った建物は直進してくる悪い「気」がぶつかる場所であり、これを跳ね返す目的で設置するのが剣獅ということになります。沖縄などで見られる石敢當と同じ役目のもので、やはり元々は福建南部が発祥の風習のようです。




タイではこの剣獅と一緒に、太極八卦図、泰山石敢當や百事無忌などの文字が一まとめになった風水鏡もよく見かけます。










このようにタイにおいては剣獅は華人の間で現在でも一般的に行われている風習で、そのため、バンコクのヤワラー周辺では剣獅や剣獅の入った風水鏡を売っている店をよく見かけます。


福建の剣獅について詳しい以下サイトによると潮州や汕頭でも同様の剣獅は見られるとのことで、潮州華人が多いタイで広まったというのも理解できます。
また、タイと同じく潮州系がメジャーなカンボジアのプノンペンでも剣獅を飾っている商店や家を見たことがあるので、東南アジアで暮らす潮州人の間では広く受け入れられている風習なのではないかと思います。