先日、タイ南部トランを訪れたので中心部の様子を写真と共に紹介します。
バンコクからは夜行列車で。3等車の車内の様子。
途中、車内販売のアイスクリームを購入。10バーツ。
トランには午前中に着く予定でしたが、列車が大幅に遅れ実際に到着したのは午後3時過ぎ。
列車は1日あたり上下合わせて4本のみ。バンコク(クルンテープ・アピワット駅)とトランを結ぶ列車が1往復、バンコクとトラン南部郊外のカンタン駅とを結ぶ列車が1往復。実にシンプル。
駅前にはトランのランドマークのひとつ、フアコップ(カエルの頭)と呼ばれる可愛らしいトゥクトゥクが停まっていました。
駅前から続くメイン通りにはゲストハウスやホテルが点在。
今回はそのうちのひとつであるシートランホテル(Sri Trang Hotel, 瓊南盛旅社)に投宿。
1952年創業。70年以上の歴史がある旅社。
瓊(琼)という漢字はそれ一字で海南島(海南省)のことを意味するため、この字が使われていればほぼ海南華人経営。「瓊南盛」で、瓊(海南出身者)が南(南方=タイ)で盛(栄える)というような願いが込められているのでしょう。
同じ通りには哥生大旅社という宿もありました。「哥生」をコーテン(Koh Teng)と発音しているのでこの旅社もおそらく海南華人宿。
というのも、バンコクのヤワラーに益生(イヤセー)という喫茶店がありますがこれは潮州語読み。一方、同じ一族が経営する益生甫記(エクテンプーキー)は海南語読み。哥生大旅社も「生」の字をtengと発音していることから海南系ではないかと類推。
トランは食の街として知られていて、名物と言ってまず挙がるのはムーヤーン(ローストポーク)。街中には至る所にムーヤーン屋が点在しています。香港でよく食べられているように元は広東料理。
また、プーケットと同じようにホッケンミーを出す店もありこれは名称通り福建系の流れを汲むもの。
さらに、代表的なお土産としてトランケーキというものがあり、これは海南華人が持ち込んだものとのこと。このケーキについては今回ここに来るまで全然知りませんでした。詳細はタイ政府観光庁の以下ページを参考に。
https://www.thailandtravel.or.jp/cake-rodloed/
ケーキの箱にも「瓊」の字が。人気があるようでトラン空港でも売っていました。
点心を出す店も多く、シンチウ(新洲)という老舗店は朝から晩まで地元客・観光客で混雑。
この店では飲み物と点心のみを扱い、パートンコー、粥、麺料理などは周りを取り囲む別経営の屋台が提供するというマレーシアのペナンでよく見られるスタイルでした。
タイでポピュラーな揚げパンのパートンコーもトラン名物の一つ。当地では福建での呼び名(油炸粿)に由来したイウチャークワイ(อิ่วจาก้วย)または単にチャークワイと呼ばれていて、サンカヤー(カヤジャム)につけて食べるのが一般的。
夕方になると駅前ではナイトマーケットが開かれ賑やかな雰囲気になります。
ペナンでよく見るアポム(apom)というお菓子を売る屋台をナイトマーケットで発見。ここではプーケットの伝統菓子としてアポン(อาโป๊ง)という名称になっていました。
トラン駅前には立派な潮州公所(潮州会館)が建っていたのでタイの他の街と同様に潮州系も多いでしょうし、目立つことはないものの客家会館もありました。「董里」というのがトランの漢字表記。
その他、中心部には瓊州公所や廣肇会館も。
このように、この街は一見ローカルな地方都市ですがよく見れば広東、福建、海南、潮州、客家と中国の様々な地域からの移民が住みついた場所だということがわかります。
また、食文化にしても街並みにしてもペナンやプーケットとの繋がりを強く感じさせる街だということも強く印象に残りました。
トラン市内の歴史的・文化的に価値のある建物には解説が付けられていて、背景などを詳しく知ることができるというのも有難かったです(但し、タイ語のみ)。
帰りはエアアジアのフライトでバンコクのドンムアン空港へ。宿のスタッフが送ってくれたのですが、空港までは車でわずか10分ほど。中心部と空港が近いというのも便利な点ですね。