シンガポール政府、今週末のリトル・インディアでの酒類販売を禁止に

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日曜日の夜に、1969年以来実に44年ぶりという暴動が起きたシンガポールですが、今週末はその舞台となったリトル・インディア地区でアルコール類の販売が禁止されることになりました。

リトル・インディア地区
(photo by Gabriel Garcia Marengo)

シンガポール警察当局が発表したもので、リトルインディア地区にある全てのレストラン、ホテル、酒屋、コンビニなどが対象となり、販売禁止期間は14日(土)午前6時から16日(月)午前6時までの丸2日間。

また、今後も状況に応じ引き続き規制を行なう可能性や、同エリアでの監視カメラの増設などにも言及しています。

シンガポールでは昨年末、中国人バス運転手による大規模なストライキがありました。これは約26年ぶりということでしたが、今年に入ってからも2月に政府の移民政策に端を発した独立以来最大規模という抗議集会が発生、さらに6月にはスピーカーズ・コーナーでインターネット検閲に対するブロガーらによるデモも起きています。

好調な経済面ばかりが強調して伝えられているシンガポールですが、何十年も起きていなかったことが次々と発生しているここ最近の動きを見ると、明らかに政治的には建国以来初とも言える大きな転換点に来ているのだと思います。

既に前回(2011年)の総選挙で、与党である人民行動党(PAP)の得票率は60%という過去最低の水準に落ち込んでいますし、多くの人たちが、次回2016年の総選挙でPAPがそれ以上の数字を得られるとは考えていないようです。

LKY一族が先導して築いてきた都市国家は今まさに繁栄を謳歌しつつも、その開発独裁とも言える手法は政治に目覚めたシンガポール国民にとっては時代錯誤のものとなりつつあるのかもしれません。

今月初め、チャンギ空港からブギスまで行く際に利用したタクシーの運転手が言った、「シンガポールは金持ちには最高の国。でも俺たちみたいな若者には本当に住みにくい国になったんだ」という言葉が強く印象に残っています。


12月8日に起きたリトル・インディアでの暴動の様子。群集が徐々に過激になっていく様子が捉えられている。