ドンムアン空港のすぐ近くにはタイ国鉄のドンムアン駅があり、今回そこから夜行列車に乗って東北部のウボンラーチャターニーに向かいました。
バンコクのフアランポーン駅を午後8時30分に出発する特急で列車番号は23。タイ国鉄では1年程前より特急など一部で中国製新型車両を導入していて、この列車もその一つに該当します。ダイヤ詳細は以下のリンクで確認できますが、ドンムアン駅に到着するのは午後9時9分、出発が午後9時11分というスケジュール。
Train No.23: Bangkok – Ubon Ratchathani
これにはイサーン・ワッタナーという愛称も付いています。イサーンとはタイ東北部のことで、ワッタナーは「繁栄する」という意味を持つ縁起の良い言葉。今回奮発して、人生初となる1等寝台に乗ってみることに。
予約
乗車する3週間ほど前に公式のオンライン予約サイトで購入。1等には上段・下段の2タイプがありますが、より快適であろう下段を予約。運賃は1,505バーツ。これにオンライン手数料として40バーツ(1等の場合)がかかり、総額1,545バーツ(約5,300円)でした。ちなみに上段だと運賃は1,305バーツと下段より200バーツ安かったです。
1等とは言っても約5千円で、宿泊費+移動費と考えればそう高くはないですよね。乗車時にはメールで送られてくるこの乗車券をプリントアウトして持参する必要があります。
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ドンムアン駅
当日は午後8時45分頃にドンムアン駅に到着。空港から駅への行き方はちょっとわかりにくいのでこの後上げる動画を参考にして下さい。
動画をYouTubeにアップしました。
この時間帯のドンムアン駅は人もまばらで、始発駅のフアランポーン駅とはだいぶ異なる雰囲気。道路を挟んですぐ西側はアマリドンムアンエアポートホテル。料金はちょっと高いのですが、ドンムアン空港での乗り継ぎや早朝便などを利用するには便利なホテルです。
この日は朝から移動で疲れてはいたものの、夜行列車にも寝台列車にも久しく乗っていなかったため多少興奮気味。下りホームに到着し、自分が乗る13号車と書かれたプレート近くのベンチで待つことにします。
しばらくして列車が到着。客車はピカピカとしていて新型車両なのは間違いないものの、まだ午後9時前でワッタナーちゃんにしてはちょっと早すぎる時間帯。
停車後、行先表示を見るとこれはノーンカーイ行きの列車番号25(イサーン・マンカー)でした。
乗客がだいぶ乗り込み、この列車が行ってしまうと駅はさらに閑散とした雰囲気に。
午後9時10分。ワッタナーちゃんが到着してもいい頃合い。しかし、続いてやってきたのはデンチャイ行き急行列車。よく聞いていれば、タイ語だけですがちゃんと次に来る列車の案内アナウンスをしてました。まあ当然ですよね。
デンチャイってどこか知らないので後で調べたらタイ北部のプレー県。チェンマイよりは手前の駅。これはほとんどがエアコン無しの3等で最後尾にエアコン2等車両がくっ付いていました。
さらに待つこと20分、ようやく「ウボンラーチャターニー」のアナウンス。時刻はちょうど午後9時半。出発したばかりのはずですが既に20分遅れ。
これも編成の一番最後が1等寝台車両になっていました。なお、タイ国鉄のリアルタイムの運行状況はサイト上やアプリから調べることも一応できます。
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ようやく乗車。
座席は13号車の22番です。
一等寝台(個室)
二人部屋個室です。客室に入ってみると、既にベッドメイキングが済んだ後でした。上段の方はアユタヤ駅からグループで乗り込んできたのですが、夜遅くまで戻ってこなかったので半分貸し切りみたいな感じで使えました。
1月の平日という時期的な問題なのか、はたまた東北線はチェンマイ行きの北線に比べ人気がないのかわかりませんが、とにかくこの日の車内はガラガラ。列車内を歩いてみた様子では、1等は半分ほど、2等に至っては3割も埋まっていないんじゃないかという状態でした。
部屋の中にトイレはないものの小さな洗面台が付いています。ペットボトルの水1本も無料で貰えます。
ベッドの上にはタオルケット1枚、バスタオル1枚、石鹸2個が置いてありました。タッチスクリーンモニターも上段・下段に1台ずつ設置。
これでテレビを見たり、現在地や次の駅の停車予定時刻を確認したり、トイレの使用状況がわかったりします。
さらには食べ物・飲み物のオーダーも可能で、注文すれば部屋まで持ってきてもらえたりと至れり尽くせり。
なお、車内ではフリーWi-Fiも提供されてはいましたが、この車両は端っこのせいか電波が弱くダメ。食堂車では使えたものの、すごく遅かったです。
シャワー・トイレ
車両の最後尾がシャワー室とトイレになっていました。シャワーは1室のみ。
シャワー室は非常に狭いものの、温水給湯器がついていてきちんとお湯も出ました。温度設定も1度単位で調節可能。但し、お湯の出ははやや少な目。シャンプー、ボディソープもタンク式のものが設置されています。
バスタオルは客車内に置かれていたものを使用しました。荷物を掛けておく場所がなかったので、持ってきた物が濡れないようにビニール袋に入れておくなどの工夫が必要です。
トイレは3つの個室があり、うち一つは男性小便用。新しさは感じませんでしたがまあ清潔には保たれていました。
2等寝台
今回自分は利用していません。撮影したのみです。
ぱっと見たところ旧型とそれほど大きな違いはないような。
食堂車
7号車が食堂車・売店になっていました。
数年前にタイ国鉄車内で酒に酔った鉄道関係者の男が女子中学生を暴行し、絞殺した後で車外に放り捨てるという事件がありました。それ以後、列車内や駅構内でのアルコール類の販売・飲酒が禁止されています。
そのため、以前だったら酒盛りで賑わっているはずの食堂車も静かなもので、鉄道警察官やタイ国鉄職員ら数人が所在無げに暇を潰している程度という状況。
また、どうもこの列車の食堂車では火を使った料理は提供されていないようで、自分が頼んだガパオライスも含めほぼ全ての料理がタイのセブンイレブンなどで売っているレンジで温めるタイプのものでした。
セブンイレブンのは以前1度食べたことがあり、そこそこ美味しかった記憶があるのですが、これはどう頑張っても半分も食べ切れませんでした。
あとは温かいものとしてはシュウマイ、肉まんの類がある程度。まだこちらの方がましだったかもしれません。いずれにしても新型車両での食事については期待はしない方がいいと思います。
食堂車での食事もこの旅行の楽しみの一つだけだっただけにこれはかなりがっかり。ここだけは昔のあの雰囲気が非常に懐かしく思えましたね。
まとめ
途中駅では30~40分程度の遅れが生じていたものの、結局ウボンラーチャターニー駅に到着したのは午前6時45分。定刻より10分遅れにまで挽回していました。
ということで、食事について以外はなかなか楽しかった鉄道旅でした。ただ、本当であればまだ暗くなる前の夕方から乗車し、景色を眺めながらのんびりと出来ればベストではあります。
この列車だと乗るのが夜9時過ぎ(フアランポーン駅からだったら8時半)で早朝にはウボンに着いてしまうので、道中はほぼ寝ているだけという感じになってしまいます。列車の旅を楽しむ時間的な余裕はそれほどありませんでした。
それでもまあ初めて1等寝台の経験もできたし、まず満足という感じです。何より事故にも合わず(結構事故が多いことで有名)、遅れもほとんどなくということを感謝しなくてはいけないでしょうね。