米粉を原料として作る長さ5~10cmほどのごく短い麺で、梅州客家の伝統料理のひとつ。先端が尖ったネズミの尻尾のような形状から当地では老鼠粄と呼ばれています。
現在は東アジア・東南アジアで広く食されているポピュラーな料理で、名称は土地により様々。台湾では米苔目や米篩目、香港や広州では銀針粉、マレーシアでは老鼠粄由来でローシーファン(Loh Shi Fun)やラオシューフェン(Lao Shu Fen)、シンガポールでは米苔目由来でミータイマッ(Mee Tai Mak)やビータイバッ(Bee Tai Bak)。また、英語ではsilver needle noodleと呼称。
広東省でも潮汕地区では尖米丸という名で知られ、潮州系華人が多いタイでも尖米丸の潮州語読みが変化したギアムイー(เกี๊ยมอี๋)と表記・発音するのが一般的。センヤイやセンミーなどと同様に麺の種類を指す言葉として使われています。
製麺方法は米粉にタピオカ粉などの芋粉を混ぜ少量の水を加えて練り、手で線状に伸ばすのが基本(手延べラーメン系列)。地域によってはおろし金を使ったり、あるいは米粉をどろどろに溶いて液体状にし、糸こんにゃくのようにお湯にくぐらせ成型するケースも(押し出し麺系列)。
同様の麺は海南島にもあり粿仔(ボッキャ)と呼ばれています。文昌市东阁镇の名物のため「东阁粿仔」とも。これも海南系華人がタイに持ち込み、タイではボッキア(โบ๊กเกี้ย)やボアキア(บั๊วเกี้ย)という名前で、麺料理としてよりは甘味として使用されています。
タイではこれを取り扱う甘味処は比較的多く、ミシュランのビブグルマンに選ばれた店も。
米粉を主原料とした麺を甘味の具として使用することはチェンドル(chendol)をはじめアジアでは一般的。文献によれば、台湾では既に100年以上前から米篩目に蜜をかけて食べていたとのことで、その歴史は古いです。
関連リンク: 台湾社会の甘い飲食文化―砂糖の歴史生態から考える | 農畜産業振興機構
梅州客家の老鼠粄。
ギアムイーの作り方。