現存するバンコク最古のレストランと言われるお店がチャオプラヤー川西岸のトンブリーにあるというので出かけて行きました。
目指すお店、ミー・クロープ・チーン・リーがあるのはトンブリーのタラート・プルーと呼ばれる地区。タイ国鉄のタラート・プルー駅前周辺がその中心です。
タイ語でプルーというのは植物の「キンマ」、タラートは「市場」なので、訳せば「キンマ市場」。
キンマの葉に水で溶いた石灰を塗り、檳榔(ビンロウ)の種を包んでそれを口に入れて噛む習慣(べテル・チューイング)はタイに限らずアジアの広い範囲で見られます。タイでは既にごく一部の年配の人だけが嗜む程度のものとなっていますが、かつてこの辺りはキンマの葉の一大集積地だったため、こう呼ばれるようになったとのこと。
タラート・プルー駅構内はノスタルジックな雰囲気。
駅からはテート・タイ通りを西に50メートルほど進み、右手の路地ソイ・テート・タイ18を入っていった突き当りになります。
地図。BTSタラートプルー駅からだと1km程度の距離。
店名の看板に漢字が併記されていることからもわかるように華人経営の店で、元々はテック・ヘーンという名称。トンブリー朝を興したタークシン王の父親が中国・潮州出身だったということもあり、タラート・プルー界隈は特に潮州からの移民の多いエリアだったようです。
いつ開業したのかお店の人に聞いたところ、「正確にはわからないんだけど、だいたい仏歴2420年頃」という返答。西暦に直すと1880年前後ということで、少なくとも130年以上の歴史があることになります。
ここの名物が店名にもなっているミー・クロープ。ミーは麺、クロープはcrispyの意。揚げたビーフンに、具材としてエビ、カニ、唐辛子、パクチー、揚げニンニクなどを合わせた料理です。
一般的なミー・クロープより色が濃いのが特徴。
仕上げに椰子砂糖をたっぷり使っているため、かなり甘めの味付け。そのままではくどいので、付け合わせで来るもやしとクイチャーイ(ニラ)をたっぷりと入れよく混ぜてから食べるとちょうど良い感じに。
料金は量によって120バーツ、200バーツ、300バーツの3種類。
ミー・クロープ以外にも、タイ料理・中華料理とメニューは豊富。バミーも人気メニューの一つとのこと。
開業当時の国王ラマ5世がこの店のミー・クロープを気に入ったということから、ミー・クロープ・サマイ・ロー・ハー(ラマ5世時代のミー・クロープ)という呼ばれ方もしています。
お店が建っているのはバンコク・ヤイ運河沿い。当時は道路がまだ無く運河が唯一の移動手段だったため、運河沿いというのは一等地ということになります。ラマ5世も船でこの店に来たのでしょうね。
バンコクは以前はよく「東洋のヴェニス」なんて言われ方をしていました。スクンビットあたりにいると全然実感できませんが、チャオプラヤー川を越え西岸のトンブリーに入ると、現在でもそこかしこに運河が張り巡らされていて、その言葉の持つ意味が理解できます。
運河寄りの路地に入ると驚くほど静か。
周囲には伝統的な家屋も数多く残っていて、食事ついでに散策するのにも最適。
驚かしてゴメンよ。
ミー・クロープ・チーン・リーは年中無休。営業時間は下記の通りです。
営業時間
月~金: 午前10時~午後2時、午後4時半~午後10時
土・日: 午前10時~午後10時。