13回目となる「アジアの麺料理」。今回は香港で食べた清湯牛腩河粉(チントンガウナムホーファン)を紹介します。
河粉(ホーファン)と呼ばれる米粉を原料とした平打ち麺を使い、具として牛腩(牛のばら肉)を入れた麺料理。
製麺法による分類に従うと、タイのクイティアオやベトナムのフォーと同じく、河粉系列に分類できます。米粉の平打ち麺+牛肉という組み合わせはフォー・ボーと全く同じですね。
以前このコーナーでフォーを取り上げたときにも言及したのですが(第8回)、フォーは元々ベトナム北部で食べられていた料理で、地理的に近接している広東省周辺から陸路で伝わったのではないかと言われています。
ベトナム語のphở(フォー)という名称も広東語の河(ホー)が転じたものと考えるのが自然で、実際、香港でも河粉を使った麺料理は牛腩河(ガウナムホー)や魚蛋河(ユーダンホー)のように略した呼ばれ方をすることも一般的です。
香港の河粉やハノイ周辺のフォーは薬味はねぎだけというシンプルなスタイルが普通ですが、これがベトナム中部以南の熱帯地方になると、地元で豊富に取れるハーブ類を多用するよう変化していきます。
広東省→ベトナム北部→ベトナム他地域という順で徐々に伝播していき、土地ごとに細部がアレンジされそれぞれ現在の姿になったのではないでしょうか。
今回訪れたのは香港島の天后にある人気店、華姐清湯腩。
メニューには日本語表記も。
この店ではスープに清湯(澄んだスープ)ではなく咖喱(カレースープ)を選択することもできます。
そう言えばホーチミンにはビーフシチューを使ったフォーがありますね。かつて香港はイギリスに、ベトナムはフランスに統治されていたわけで、これらもそういった影響を受けているのではないかと思います。
データ
料理名: 清湯牛腩河粉
麺の原料: 米粉
麺の種類: 河粉系列
具: 牛ばら肉、ねぎ
店名: 華姐清湯腩(Sister Wah)
場所: 香港・天后
料金: 40香港ドル