ANAによるプノンペン直行便就航後、カンボジアへの旅行者は増えたのかを検証

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ANAが成田〜プノンペン間の路線を開設したのが2016年9月1日。日本・カンボジア間における記念すべき初の定期直行便でした。

現在あれから1年以上が経ち、果たしてカンボジアを訪れる日本人旅行者は増加しているのか調べてみました。

プノンペン国際空港に駐機中のANAのボーイング787-8型機
プノンペン国際空港に駐機中のANAのボーイング787-8型機

カンボジア観光省が公表しているデータによると、昨年9月以降にカンボジアを訪問した日本からの旅行者は以下の通り。

旅行者数 前年同期比
2016年09月 16,177 -8.9%
2016年10月 13,298 +0.9%
2016年11月 18,755 +4.4%
2016年12月 21,908 -2.8%
2017年1月 20,149 +18.4%
2017年2月 20,571 +10.1%
2017年3月 19,508 -2.7%
2017年4月 13,077 +2.2%
2017年5月 12,266 +3.6%
2017年6月 12,743 +21.5%
2017年7月 13,350 +13.6%
2017年8月 20,159 +7.2%

(参照:Ministry of Tourism Cambodia

ANA就航前の1年間(2015年9月〜2016年8月)と比較するとプラス4.7%という結果になりました。

人数にすると年間で9,100人の増加。ANAは座席数240席のボーイング787-8で毎日運航していることを考えると、思ったほど増えていないというのが正直なところでしょうか。

ただ、今年になってからは3月を除き前年比プラスが続いていて、そのうち4か月は二桁の伸び。平均伸び率も8.6%と順調に上昇していることが見て取れます。

さらに、カンボジアを訪れる日本からの旅行者は2014年の215,788人をピークにそれ以降は2年続けて減少を続けていたという事実を考慮に入れると、今回のANAの就航によってそれが底を打ち、下支えされているという見方もできます。2017年は3年ぶりのプラスに転じるのは間違いなく、その要因の一つとしてANAのプノンペン線が挙げられると言っていいのではないでしょうか。

実際、ANAのプノンペン支店長が現地メディアとのインタビューで「就航直後は厳しかったものの、今年1月以降は搭乗率が改善している」と述べていますが、これは上記データと傾向が一致していますね。

ANA marks one year since expanding flight route to Cambodia – Phnom Penh Post
One year anniversay of ANA’s direct flight from Japan to Cambodia – Khmer Times

2016年にカンボジアを訪れた日本からの旅行者を目的別にみると、観光が164,067人、ビジネス24,108人、その他3,402人。実に8割以上が観光目的の旅行者でした。行き先は当然アンコールワット遺跡群のあるシェムリアップが中心。

現在、ANAの直行便でカンボジア入りしてもシェムリアップに行くためにはプノンペンから乗り継ぎが必要です。提携しているカンボジア・アンコール航空に乗り継ぐ場合でも今のダイヤだと待ち時間も結構長く決して便利とは言えません。他社便でバンコクやハノイといった国外の都市を経由する方がかえって所要時間が短く、料金も安いというケースが多いです。

このあたりが改善されれば成田〜プノンペン線の利用者もさらに増加すると思いますが、最終的にはプノンペンを目的地とする旅行者をいかに増やすかが重要でしょうね。なんといっても唯一の直行便でそれが一番の強みなのですから。