タイのバンコクは東京や大阪など日本の大都市と比べると公共交通機関がまだまだ未発達です。
そのためバンコク滞在中はタクシーを利用する機会も多いと思います。初乗り運賃が35バーツ(約120円)と格安なことも気軽に使える要因のひとつですね。
ただ、いざ乗ってみるとメーターを使わなかったりぼったくられたというケースが結構多く、バンコクのタクシーに対する評判はあまり良くないというのが実情です。
そこで、旅行者がタクシーに乗るときの注意点や、ぼったくり被害を避けるための対処法など、個人的に気づいたことを以下にまとめてみました。
車体・タクシー会社の特徴
稀にワゴンタイプも見かけますが、バンコクのタクシーはセダンタイプが一般的。しかもそのほとんどがトヨタ車です。屋根の上にTAXI METERと表示してあり、車体はピンク、オレンジ、赤、青、緑など鮮やかな色が中心で非常に目立ちます。助手席側に設置してある赤いランプが点灯していたらそれが空車のサインです。
会社によって車体の色が異なっていて、「緑はサービスがいい」とか「青は安全」などという意見はあるものの、個人的な経験ではそれほど大きな違いは無いかなというのが正直なところです。
但し、黄色と緑のツートンカラー(上半分が黄色、下半分が緑)は個人タクシー(タイ語ではタクシー・ブックコン)で、これは法人タクシーに比べると「ハズレ」の確立が高い感じがします。
周辺他国を例にとると、ベトナムだったらマイリンやビナサン、インドネシアだったらブルーバードというように、ぱっと名前が挙がるタクシー会社がありますが、タイでは今のところこれというものは見当たりません。
こういった状況から既存のタクシーのイメージを変えようと2015年に新たに登場したのがオール・タイ・タクシー(All Thai Taxi)という会社。乗車拒否をしない、全社GPS搭載のプリウスを使うなど差別化を図ろうとしています。
問題はまだ数が圧倒的に少なく見つけるのが困難な点。スマホアプリも用意されていますがなかなか捕まえられません。そのため、現状オールタイタクシーだけを選んで移動するというのは現実的な方法ではないです。
運賃計算方法
前述のように初乗りは35バーツ(1kmまで)。その後は、1km~10kmまでは1キロ毎に5.5バーツ、10km~20kmでは1キロ毎に6.5バーツを加算などとなっています。詳細は以下の通り。
初乗り: 35バーツ(1kmまで)
1~10km: 1km毎に5.5バーツ
10~20km: 1km毎に6.5バーツ
20~40km: 1km毎に7.5バーツ
40~60km: 1km毎に8.0バーツ
60~80km: 1km毎に9.0バーツ
80km以上: 1km毎に10.5バーツ
運賃体系はどのタクシー会社でも均一で、深夜割増料金や早朝割増料金といったものもないため単純且つ明快。但し、メーターは2バーツごとに上がっていく仕様のため実際の運賃は距離によって以下のように変化していきます。
(表を掲げていないタクシーも多いので、この画像を携帯に保存しておくと重宝しますよ)
この距離運賃とは別に、渋滞時など時速6km以下で走行・停止していた時には1分毎に2バーツが加算されます。渋滞や信号待ちが10分あれば20バーツ、20分あれば40バーツが加算されることになりますね。
さらに、スワンナプーム空港とドンムアン空港からタクシーを利用した場合は空港利用料金としてメーターに表示されている運賃+50バーツを支払わなければならないという規則があります。
スワンナプーム空港でのタクシーの乗り方や注意点は以下の動画を参考に。
距離による加算運賃は周辺主要都市と比べると割安な設定です。そのため、日本のように近距離を嫌がるドライバーはバンコクにはあまりいないものの、逆に長距離で渋滞が予想されるような場所はメーターだと行ってもらえないことが多いのも特徴です。
関連記事: 東京と東南アジア主要都市のタクシー運賃を比較してみました
料金相場
バンコクは面積が1,500km²以上もあるかなり広い都市です。
但し一般的な外国人旅行者の行動範囲であるスクンビット(東はオンヌット辺りまで)、シーロム・スリウォン、サイアムスクエア、プラトゥーナーム、カオサン、ヤワラー(チャイナタウン)、チャオプラヤー川リバーサイド、戦勝記念塔、チャトゥチャック公園などの移動であれば数十バーツから200バーツ程度までが目安。もちろん、同じエリア内であれば100バーツ以内ということがほとんどです。
スワンナプーム空港やドンムアン空港は郊外に位置しているため、市内中心部までは200~300バーツ程度。これに、空港利用料金の50バーツ、そして高速を使った時は高速料金が別途必要になってきます。
Googleマップでルート検索をすると距離も併せて表示されますよね。それと上で紹介した運賃表を照らし合わせてみればおおよその目安になると思います。ホテルや商業施設が建ち並ぶスクンビット・アソーク地区を例にとると、ドンムアン空港からもスワンナプーム空港からも共に25km程度です(高速使用時)。
メーター表示がこれら相場からあまりにかけ離れているようであれば、ターボメーターと呼ばれる不正なメーターを使用している可能性がありますね。
乗車拒否は当たり前
バンコクのタクシーでは乗車拒否は日常茶飯事。いちいち怒っていてはキリがありません。そのため乗りこむ前にまずは目的地をドライバーに伝えるのが一般的な方法。ダメだと言われたら素直に別のタクシーを探すだけです。
乗車拒否と一口に言っても、単に儲からないので行きたくないという場合があるかと思えば、ドライバーの勤務交代の時間が迫っているからやむを得ずというケースもあり事情は色々です。
ホテルや観光地で客待ちをしているタクシーは避ける
ホテルの前や王宮、ワットポーなどの有名観光スポットには客待ち・客引きをしているタクシーが数多くいます。これらはメーターを使わずぼったくる傾向が非常に高いため避け、客を乗せてきたタクシーや少し離れた場所から流しのタクシーを拾うようにしましょう。
ぱっと見で外観が綺麗な車を選ぶ
汚れていたり、大きな傷があるような車は概してメンテナンスもおろそかになっていることが多いです。実際、自分もこれまでにエアコンが壊れていたり、急にエンストして動かなくなったということを経験済みです。
女性は夜一人での利用は避ける
男なら問題ないですが、女性が1人で夜乗るのはやはりお勧めしません。できるだけ複数人で。それが無理なら記録の残るGrabTaxiなどの配車サービスの方が幾分安全です。
乗り込んだらまずはメーターを確認
必ずメーターが動いていることを確認し、押していないようであれば使うように指摘します。まずは初乗り運賃である35という数字が表示されます。従わないようであれば降りて別のタクシーを探しましょう。
ナンバーを撮影しておく
車内後部座席や助手席のドア部分にはその車のナンバーが貼ってあります。万が一のことに備えこれを撮影・書き留めておくと、後でトラブルがあった時や忘れ物をした時にも役立ちます。
タイのナンバープレートはタイ文字と数字を組み合わせたものです(上記画像の車ではมจ-6102)。
タクシー車両には外国人向けとしてタイ語部分にアルファベットも割り当てられていて、タイ語が読めなくてもアルファベットと数字を覚えておけばOK(上記画像では、E-6102)。これで車両が特定できます。
(※ここではあくまで例として掲載していて、この番号のタクシーが悪質というわけではありません)
また、スワンナプーム空港とドンムアン空港からタクシーに乗る場合は整理券が発行されます。これにはドライバーの名前、車種、ナンバープレートなどが書いてあるため無くさないようにしましょう。万が一、車内に忘れ物をした際にもこれがあればどのタクシーかすぐに特定することができます。
一方通行や行き止まりの道路が多い
バンコクでは一方通行や行き止まり、さらにUターン禁止となっている道路が非常に多いです。結果として、地図上の距離よりもかなり遠回りになることがあります。これも事前にGoogleマップでルート検索をしておくと、おおよその走行ルートや渋滞状況が把握でき、わざと遠回りをされていないかの確認も容易になります。
通勤時間帯や荒天時は想像以上に時間がかかる
バンコクは世界でも有数の渋滞都市です。特に朝夕の通勤・通学時間帯や雨の日は、わずかの距離でも想像以上に時間がかかります。
旅行者がよく訪れるスクンビット、シーロム、サートーン、プラトゥーナーム、サイアムスクエア、ヤワラーなども渋滞の名所です。最悪の場合、歩いたほうが早かったという笑うに笑えない事態も起こり得るので、移動の際には余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
運転が荒い
日本に比べると運転の荒いドライバーが目立ちます。飛ばすことがサービスだと勘違いしている人も。スピードが出すぎていると感じたら大事故になる前に、Please slow downとかカップ・チャーチャー・ノイ(タイ語)などと一声掛けておきましょう。
細かいお金を用意しておく
500バーツ札や1,000バーツ札を出すと「お釣りがない」と言われることが結構あります。そうなると近くで両替をするか、コンビニなどで何か買ったりして小銭に崩すしか方法がなくなります。
実はお釣りを持っているのに無いと言ってくるケースも多いため、タクシーに乗る前には100バーツ、50バーツ、20バーツ紙幣をたくさん用意しておくと支払いの際のトラブル軽減に繋がります。
お釣りに関してはもう一点、以下のことも。
おつりの数バーツはチップに
タイにはチップという習慣は基本的にはありません。ただ、ローカルの人たちでもタクシーに乗るとお釣りの数バーツは心付けとしてそのまま渡すことが一般的です。自分もサービスに不満が無ければ距離により数バーツ~20バーツ程度はチップで渡しています。これは当然強制ではありませんが、外国人旅行者が1バーツのお釣りまできっちり貰おうとするとかなりけち臭く見られるということは覚えておいて下さい。
タクシーのクレームは1584番へ
タクシーのサービスについての苦情・相談は陸上輸送局のコールセンターへ。タイ国内からは1584番。
24時間問い合わせ可能。但し、日本語は通じないためタイ語または英語での対応となります。
なるべく電車やバスを使う
バンコクには都市鉄道としてBTS(高架鉄道)、MRT(地下鉄)、エアポートレールリンク(スワンナプーム空港~市内間)があります。これらは当然タクシーよりも安く、ぼられる心配がないということで安心して使うことができます。
また、タクシーと違って目的地までの所要時間が読めるという利点もあります。市内中心部に限ると今のところBTSは2路線、MRTは1路線だけなので、行ける場所も自ずと限られてきてはしまいますが・・・。
バスの利用は初心者にはややハードルが高いものの、このところ空港と市内を結ぶエアポートバスの新路線が次々と誕生しています。これであれば乗り方も簡単なので空港からはバスを使うという方法もおすすめです。
関連記事: ドンムアン空港のエアポートバス ルートとバス停一覧
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まとめ
以上、色々とバンコクのタクシーの注意点を書いてきましたが、実際には問題の無いタクシーの方が圧倒的に多いです。特に市内で流しのタクシーを拾った時にはそういう傾向が強く、初心者でも過剰に心配をする必要は全くありません。
ただ一つ感じるのは、最近のバンコクのタクシードライバーは昔に比べて不機嫌・不愛想な人が多くなったなあということです。バンコクの物価上昇を考えるとタクシー運賃はほとんど値上がりしていない状態のため、単純に生活が苦しくなっているドライバーが増えたのだと思います。